星の見える一本道

永がポケモンのこと投稿したり無星卓のこと紹介したりするところ

第一回投稿 2017 09/27

第一回更新 2017 10/02

第二回更新(予定) 2017 11/10前後

第三回更新(予定) 2017 12/10前後

試験期間の関係と所用により、少し更新が遅れることをお許しください。

それなりの文量にはしてきます(フラグ)。

 

 

 

 

 

 

※この物語はフィクションです。実在の団体や人名などとは一切の関係がありませんので、ご承知おきください。

 

 

 

第一章

 

1 星の無い夜

 

日本。

それは、一度は平和を誓ったはずの国家。

考えてみて欲しい。今の日本は、何のために、何をしているのか。

研究にお金を注ぎ込むわけでもなく、軍事にも手を伸ばし、さらには国民をないがしろにする始末。

表向きは、確かに国民のために動いているように見えるだろう。

しかし、だ。

 

人というものは、所詮そんな性格しか持ち合わせていないのだろうか。

しかし、人間は「考えることのできる生き物」なのだ。

改善、それは容易いことではないのかもしれない。

ここ、蜂敷高等学校を受験したのも、それが大きいだろう。

実情を知りたい。

思惑を。

あくまで、自分のために…

 

 

 

2 

「入学後最初のイベント、それは文化祭となるだろうな。そこまで気負う必要も無いだろう。ただ、関門になるかもしれないことは自覚しておくように。詳細についてはまた連絡する。以上だ」

 

こんな言葉を聞けば、誰だって対策しようと動き出すだろう。ただ、対策をしようにも肝心の要素が発表されていない以上、どうすることもできないのが現状ではあるが。

既に動き出している人がいる。オレにできることは…なし、か

というか、手伝う義務も義理も無い。

「やっぱり、我関せずを突き通すのね」

見透かされていたのか、横から声がする。

「お前も同じようなものだろ。非難されるいわれは無いね」

「非難している訳じゃ無いけれど。それに、私にはあなたと違って昼休みにも予定があるの。じゃ」

どうしてこう、越智という奴はこうも可愛げがないのだろうかと一瞬考える。

 

オレが越智詩織という人間と知り合ったのは、数日前のある出来事がきっかけだった。もちろんこちらは全く意図していなかったのだが。

 

 

 

3

蜂敷高等学校に入学する日の朝のこと。

この学校はそもそも、有名大学への進学率、就職率を武器として、全国から優秀な生徒を集める、国主導の高校、だった。

全寮制であり、正当な理由なく校外との接触を禁止、ということは案内にあったが、それ以外に殆ど情報がない、非常に不可思議な学校である。もっと噂とか広まってても良さそうなものだが、まあそこはセキュリティが厳しいのだろう。

色々考えを巡らせていたところで、ふと見えた電車の電光掲示板にニュースが流れているのに気付く。

へぇ、そんなこともしてるのか。あまり乗り物に乗ったことのないオレには珍しかったのだが、問題はその内容だった。

衆議院解散の意思を明らかにした設楽政権は五日、明確な選挙時期を明らかにした。日程は次の通り…」

はあ…

思わずため息をついてしまう。なにしろ、考え方によっては違憲と取ることもできてしまう。そもそも、どう考えても与党に有利すぎないか。

ここ数年、国の動きは注視してきたつもりだが、こうなってくると…

 

なんて考えていると、隣の存在に気付く。オレと同じで、電光掲示板を見つつ神妙な顔をしている。他の乗客が全く関心を示していない中、彼女だけ異質だった。いやオレもだけど。

今の日本でこんなことに関心を示しているのは、円の相場を気にしている人くらいのものだろう。

オレが気にすることでもない、か…

 

 

4

講堂で行われた入学式には、全校生徒が集まった。ざっと500人といったところだろうか。しかしオレは、これから始まる生活に心を躍らせていた、何しろ完全な全寮制である。それはすなわち、今まで生活からの解放を意味する。実感がわかなかった頃が嘘のようだ。

黄昏れていると、式はあっという間に終わり、誘導されてあらかじめ知らされている1組に。

 

さて、と。今日明日で重要になってくるのは、3年間が大きく左右される「友達作り」か。席は窓側の中央寄り。人間には事欠かなそうだ。

さて、まず最初の友達が…と冷静に分析していると、横から声がかかった。

「来るときの電車でこっち見てたみたいだけど、何か用だった?」

あまりにも突然のことに、飛び上がりそうになる。

…なるほど、確かに見たことのある顔だ。

「あー、ごめん。色々考え事しててさ」

「そっか。同じこと考えてそうだったから。あ、もしかして、隣の席だったり?」

「みたいだな。よろしく」

よし、この話題は上手く

「で、どうなの?ニュース見てて色々考えてたんでしょ?」

流せてなかった。

「うーん、見解は違うだろうし、ここで共有してもメリットは少なそうだから、とりあえず黙っとく」

「なるほど、ね。分かった」

そう言って、オレから離れ、横の席に着く

「そうだ、名前は?」

「答えなきゃダメ?」

「いや、嫌なら構わない。けど、いずれ分かることだし、名前も知らないで居るのは居心地」

「越智詩織」

…答えてくれるとは思ってなかった。

 

と、教室前方の扉が開き、ザワザワしていた教室がピタッと静まった。

入ってきたのは男性と女性だった。一人は四十歳くらいだろうか。身長は低めだが、堂々とした雰囲気を纏っている。対して女性は無口そうで、クラスに心底興味がない、といった様子だった。

男性の方が教壇に上がるのを、生徒たちは固唾をのんで見守っていた。

彼は全員が席に着いているのを確認すると、口を開く。

「この1組の副担任となった本賀一輝だ。よろしく。あちらは担任の春禍周先生だ」

春禍と呼ばれた女性が軽く会釈する。HRはすべて本賀先生に任せているのか、彼女は黒板に背中を預け、腕を組んでこちらを見ている。

それより気になるのは、担任が二人、という部分だ。クラスの面々も驚きを隠せないようで、先生を交互に見ている生徒までいる。

 

「この学校には制服は設定されていない。そこは把握済みだと思うが…」

そんな戸惑いの渦を尻目に、本賀先生は説明を続ける。

と、男子生徒の一人が見かねたようで、すっと手を挙げた。

「どうした。説明の途中なのだが」

「すみません、先生。ですが、僕たちが多岐亡羊といった感じなのは先生もおわかりでしょう?」

「そうか?学校生活初日で色々と緊張しているだけに見えるがな」

まともに答えていない。まるで、このクラスを馬鹿にしているかの様に。

その生徒は息を吐き、こう切り込んだ。

「なぜ、担任が二人、いらっしゃるのでしょうか。担任が複数人いることによって、様々な弊害が生じることは明白でしょう?資料にも、そういったことはどこにも記載がなかったように思うのですが。」

確かに、入学前に配布された資料で読んだ記憶はない。ただし、あの資料に何か書いてあったかと問われれば、返答に困りはするが。情報はほとんどHPで読んだ記憶がある。

「そうか。だが、入学後は学校に適応してもらう、とは書いてあったはずだ。担任が二人、というのは現代の学校では稀な例だ。しかし、なにか決定的なデメリットがあるか?

説明するのも面倒だ、といった様子に、クラスの大半は困惑を隠し切れていない。

「理解できたか?では説明を続ける」

何か、はっきりとは分からないが、何かが学校の裏で動き出している、そんな気がした。

もちろん、杞憂に終わってくれることを願う。

 

 

 

 

結局、春禍はあの後一言も喋らずに入学式は終わった。

学校から支給されたのは五万円相当となる5万ポイント。一月分にしては十分すぎる量…か。

敷地内には、基本的にどんなジャンルの店でも揃っているため、特に不便は感じないという。ただ、本屋は大型デパートの中にしかないようだった。

この学校のもう一つの魅力、「校則が存在しない」。これも、入ってみるまでは全く実感が湧かなかった。しかし教師の説明にもあり、事実らしい。

今のところ疑問点だらけだが、明日以降解消していってくれることを祈る。今から洗い出しておく気にもなれない。なにしろ、せっかくの自由だ。頭を無駄に使うようなことをしても、疲れるだけ。

 

今ポイントを使うべきものもないだろう。ちなみに、学生証はICカードも兼ねており、それを店頭の読み取り機にかざすことで引き落とされる仕組みらしい。なかなか高度だ。

とりあえず、寮に行ってみるか。

 

 

学校から5分ほどの場所に位置するその建物は、高さ50mはあろうかという大きなものだった。

管理人に当たる人に学生証を見せると、マニュアルと鍵を渡された。感じとしては、ホテルのフロント、といったところだろうか。

マニュアルを開いてみると、箇条書きの文言が目に入る。校則がないとはいえ、流石に男女で同じ寮の建物には規則が定められているようだ。当然っちゃ当然か。

それでも、女子の階層に入るのが禁止されているわけでもない。